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クリオネは家で飼育出来るのか?クリオネの生態も解説

   

クリオネは、日本では、冬のオホーツク海の寒冷地などで観測され、羽根を広げた姿が天使に見えることから「流氷の天使」と言われ、スースーと泳ぐ様は、見る人を神秘的な気持ちにさせてくれます。

さすがに、自然界の中でクリオネを見たことある人は少ないと思いますが、大半の方は、水族館で一度は見たことがあると思います。

そんな中、ここ数年、クリオネがスーパーや鮮魚店で売られている情報が出回り、私が住んでいる大阪で有名な、激安スーパー玉出でクリオネが売られている事にびっくりしたのを鮮明に覚えています。

勿論、食用ではなく観賞用としての販売ですが、今までは水族館でしか見る事が出来なかったクリオネを購入する事が出来るとなると、家でもクリオネをじっくり鑑賞したいと言う人は増えていくと思います。

しかし、クリオネを家で飼うにしても、クリオネの生態もよく分からないまま、どうしたら良いか困ると思います。

この記事では、クリオネの生態について解説しながら、クリオネの飼育についてお話していきます。

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クリオネとは

クリオネとはハダカカメガイの事で、巻貝の一種ですが、成長すると完全に貝殻を失うため、水族館で見るクリオネにはほとんど貝殻がついているものはいません。

大きさは生体で1cm~3cmぐらいですが、北極圏やロシア付近では5cm程度と若干大きさに違いがあります。

体は透明な部分が多く、内臓のみが不透明で、胴体の前部に透明な1対の翼足 があり、翼足を動かして遊泳しています。

クリオネの名前の由来は、ギリシャ神話の海の妖精クレイオからきており、羽を広げた姿が天使に見えた事に由来しています。

クリオネの生態とは

 クリオネは、北極圏や南極圏の寒い海に生息し、日本では2月以降に流氷にくっついてオホーツク海沿岸まで移動します。
春から夏にかけて流氷が溶け出したり、流氷がロシアや北極圏に戻る段階で、海の底に落ちて動物プランクトンとして、魚に食べられてしまいます。
そのため、クリオネに流氷はなくてはならない存在ですが、その理由はクリオネの遊泳力にあります。
クリオネは、遊泳力がかなり弱く、泳いでいるというよりは流されていると表現した方が正しいのかもしれません。そのため、海流が強い所は苦手で、流氷の下は流氷が表面にあるために波が立たずに水中の海流が弱く、クリオネが生活しやすい環境であるため、自然に流氷の下に生息しているそうです。
また、クリオネは集団で行動する事が多いですが、遊泳力が弱いため、流されてたまたま集まった仲間と一緒に行動するなど、自然に身を任せて生きていることが分かります。
クリオネの産卵時期は4月~5月と10月あたりの年2回あり、雌雄同体であるため、同じ大きさの2匹が頭を上にして生殖器部分をくっつけて、雌になった方が、交尾後4時間前後でゼリー状の卵を海中に産卵します。
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クリオネの餌と食事方法について

クリオネの餌はかなり変わっており、同じ種類の巻貝である「ミジンウキマイマイ」のみを捕食し、捕食した餌の栄養をほぼ100%同化します。

クリオネは一度「ミジンウキマイマイ」を食べると、なんと半年から一年は飢餓状態で生命を維持する事が出来ます。

場合によっては、生涯(寿命は1~2年)で一回しか食事を取らないと言われていますが、実際は海のプランクトンを食べながら、大きな食事として「ミジンウキマイマイ」を食べるという説が有力です。(専門家でも正確な答えは出ていないそうです)

また、クリオネは「流氷の天使」と言われていますが、食事方法に関してはかなりグロテスクで、天使よりも悪魔に近いくらい凶暴になります。

クリオネの飼育について

クリオネを飼育するのは、そこまで難しくありませんが、きちんとした環境を整えてあげなくてはいけません。

水と水温

クリオネは海に生息しているため、海水を用意する必要があります。海水はどんなものでも良いのですが、せっかくクリオネを飼育するので、きれいな海水を用意してください。

最近では、クリオネ専用の飼育水も販売されているので、海が近くに無い方は飼育水を購入した方がよいかもしれません。

また、生息地域が北極圏、ロシア、オホーツク海であるため、海水温度はかなり冷たく、実際にクリオネの飼育適温は0℃~5℃が最適温度になります。しかも、水温が10℃を上回ると死んでしまいます

そのため、温度管理が出来る水槽を購入するのが理想ですが、水温を上げるにはヒーターを搭載すれば簡単ですが、10℃を下回る環境に保つのはかなり難しいです。寒い冬に部屋の温度を10℃以下にするわけにもいかず、しかも実際に水温を10℃以下にしようと思ったら、もっと部屋の温度を下げなければいけません。

そのため、冷たい空間で常に水温を10℃以下に保てる場所として、冷蔵庫で飼育するのが鉄板になります。

海水は定期的に交換しないと、水中の酸素がどんどん薄くなりクリオネが死んでしまうため、出来る限り海水は3~4日に一度くらいに取り換えるようにしてください。(長くても1週間前後)

クリオネを飼う理想の容器

クリオネは冷蔵庫で飼うのが理想となるため、冷蔵庫に入る大きさの容器がベストです。

一般的な目安で1Lの水に対してクリオネ2匹と言われていますので、購入したクリオネに合わせてペットボトルの容器で飼育すると良いです。

また、ペットボトルが良い理由として、密閉出来るという事も大きなポイントになります。容器が密閉出来ないと空気中の細菌が侵入する可能性が高くなり、せっかく綺麗な海水を入れてもすぐに汚染されてしまうからです。

餌について

結論から言えば、餌は何も与える必要はありません。

飼育する身とすれば、餌を与えないのは心苦しい部分もありますが、クリオネは「ミジンウキマイマイ」しか食べませんし、基本的に飢餓状態で生息しているからです。しかも生涯で1回しか食べない時もあります。

そもそも、「ミジンウキマイマイ」を入手するのはかなり困難ですので、そこはそういう運命と思って暖かく見守りましょう。

明るさについて

クリオネは水中に生息しているため、普段は少し暗い環境がベストです。しかし、冷蔵庫で飼育していれば特に気にする問題でもありません。

最後に

クリオネの飼育は、生態をきちんと理解していれば実はそこまでややこしいものではありません。

実際に、冷たくてきれいな海水をペットボトルで飼育すれば問題ないわけですし、クリオネ自体、飢餓状態で生息しているため、餌を与えることなく寿命を全うする事も出来ます。

そうは言っても、綺麗な海水を常に準備出来る環境と10℃以下の水温を保ち続ける事は、言う分には簡単ですが、実際にやるのは少し面倒臭いと個人的に思います。

また、いくらクリオネを飼育出来ても、ずっと冷蔵庫に入れっぱなしでは鑑賞出来ないので、少しの時間(水温が上がらない程度、長くても10分)であれば外に出して鑑賞する事は出来ます。

しかし、10分未満の鑑賞のためを思うと、どこか労力が割に合わないような気がします。

そのため、クリオネを飼育する事は誰でも可能であるが、鑑賞するためだけにかかる労力はかなり大きいというのが、私の結論になります。

クリオネを飼育するのは、よほど好きでない限りやめておいた方がよいかもしれません。

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