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ステンレスはなぜ錆びるのか?原因と落とし方を徹底的に解説

      2017/01/07

ステンレスは錆びにくいはずなのに、気づかないうちに錆びている事はありませんか?

ステンレスは錆びないのが最大の強みで、シンクや、包丁、フライパンなど主に台所関連製品に多く使われています。

しかし、長い間使っていると、だんだんと錆びてきますよね。

確かにその他金属製品に比べたら錆びにくいですが、ステンレス製品を使っても錆びてしまうには原因があります。

原因が分かれば、対策も施せますし、ステンレスの特性を知れば、錆びらせても簡単に錆を落とすことが出来ます。

この記事では、ステンレスに関する基礎知識、ステンレスが錆びる原因と錆の落とし方、ステンレスを錆びさせない方法についてお話していきます。

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ステンレスって何?

ステンレス製品は錆びないという事を知っていても、そもそもステンレスが何かきちんと答えられる人は意外と少ないと思います。

ステンレスとは、鉄にクロムやニッケルなどの物質を添加した合金です。工業系の仕事をしている人は「SUS」(サス)でお馴染みです。

ステンレスの「ステン」は英語で錆びる、「レス」は、「~がない」という意味を持っているため、「錆びにくい鉄合金」と言えます。

鉄にクロムやニッケルを混ぜる事で、鉄の性能を高める合金が出来て、これを一般的にと呼ばれています。

ステンレスはなぜ錆びないのか?

ステンレス鋼は、鉄と混ぜるクロムの含有量を10.5%以上にして、空気中の酸素と触れると、ステンレス鋼の表面が薄い酸化皮膜で覆われます。

酸化皮膜とは、金属表面に出来る錆の事です。

「ステンレスは錆びないのに、金属表面に錆が出来るってどういう事?」

と酸化皮膜に詳しくない人からすると、何を言っているか意味が分からないと思います。

ここで、錆の意味と酸化皮膜との違いについてお話します。

錆の代表的な例として鉄の赤錆があります。赤錆は空気中の酸素と水分が鉄の表面が触れることで、非常に薄い酸化化合物の膜が出来ます。

「その説明だと酸化皮膜と一緒では?」

と思うでしょうが、赤錆の場合、酸化化合物がどんどん鉄の中心まで腐食される事で、最終的には酸化鉄となって、ボロボロと赤錆のくずが落ちていきます。(自転車のチェーン回りをイメージすると分かりやすいかと思います)

一方の酸化皮膜は、酸素と金属の表面が触れる事で錆が出来る所までは一緒ですが、実はこの膜が一度形成されると、外部からのさまざなな物質を遮断してくれる働きを持っています。そのため、酸化皮膜が出来た後は、どれだけ酸素と鋼の表面が接触しても、中まで侵食されないため、結果として錆びません。(一般的なフライパンは黒色をしていますが、これは鉄を空気中でわざと加熱させる事で出来る黒錆で、酸化皮膜となります)

酸化皮膜の場合、一度錆で膜を覆うことで、錆から身を守っているという事になります。

錆には、赤錆のように腐食させるものと、黒錆のように酸化皮膜の薄い膜を作って腐食から身を守るものの2種類ある事を理解しましょう。

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なぜステンレスでも錆びてしまうの?

ステンレス鋼は酸化皮膜を形成して錆から身を守っていますが、長い間使っているとステンレスが錆びるということはよくあります。

なぜ、酸化皮膜で錆を防止しているのに錆ができてしまうのか?その理由についてお話していきます。

もらい錆

もらい錆とは、名前の通り、錆をもらうと言う事です。

ステンレスは何もしなければ錆びることはほとんど無い為、もらい錆の場合不自然なさび方をします。

例えば、台所のシンクの上に空の空き缶、鉄製フライパン、クリップなど錆びやすい物を何気なしに置いていると、空気中の酸素と接触してその部分だけが錆びる状態です。

また、台所のシンクの場合、使用する水道水には微量の金属が含まれており、その中の鉄分が反応して赤錆が出来る事もあります。

つまり、ステンレスが錆びているのではなく、ステンレスの酸化皮膜の上に錆が付着している状態となります。

ステンレスが錆びるという理由のほとんどがこのもらい錆によるものです。

塩素系による酸化皮膜の破壊

海沿いに住んでいると、物が錆びやすいという話しを聞いた事があると思います。

ステンレスに関しても例外ではなく、ステンレスは、塩素に弱ステンレスの酸化皮膜は塩素イオンによって、局部的に破壊されてしまいます。

酸化皮膜は自然に再生(ステンレスに含まれるクロム量によって、再生力は異なります)しますが、酸化皮膜が再生される前に、もらい錆などによって赤錆が付着してしまうと、いくらその上に酸化皮膜で覆っても、赤錆はすでに金属の中に存在するので、錆が広がってしまいます。

そのため、海岸地域(海水による塩分)でステンレスが錆びやすい理由は、酸化皮膜が壊れやすい事が原因になります。

また、食器を洗う時や、掃除の時に塩素系の漂白剤を使用するのも、ステンレスの酸化皮膜が壊れる原因となるため、使用直後は漂白剤をきちんと流して拭き取る必要があります。

ステンレスの錆の落とし方とは?

ステンレスはもらい錆や塩素によって、錆が発生してしまうため、完全にステンレスに錆を発生させない事は難しいです。

そのため、錆が出来た時の落とし方をきちんと理解する事で、余計に錆が広がる前にきちんと錆を落としてあげる必要が出てきます。

一般的に錆を落とす方法として、市販のクレンザーや中性洗剤(重曹)や石鹸を使う事がほとんどだと思います。重曹や石鹸は肌に優しいのとステンレスそのものも痛みにくいため、まずはそれらを使って錆を落としてみることをお勧めします。軽度の錆や初期のもらい錆程度では、十分落とすことが出来ます。

しかし、それでも錆が落ちない場合は、どのようにして錆を落とせば良いのでしょうか?

錆が強い場合

お酢を使うと酸の働きで、錆が簡単に落ちる事はよく知られているため、重曹やクレンザーにお酢を混ぜて使用するという方法があります。お酢の代わりにレモン汁でも代用できます。

ただし、お酢やレモンは酸が強いので、必要以上に多く入れるとステンレスが傷みやすくなるため、少しずつ入れて混ぜて様子を見ながらやると良いです。

組み合わせの例として、

・クレンザー+お酢

・重曹+お酢

他のサイトでは、クレンザーや重曹といった洗浄剤を使わずに、

・お酢+ケチャップ

で食品からクレンザーを作るという方法もありました。

実は錆を落とすには、酸と塩が有効であり、塩は錆の成分を分解して、お酢やレモン汁はクエン酸で錆を溶かして分解する働きがあります。

そのため、お酢とケチャップという酢豚を作るようなものでも、錆落としには有効である事が分かります。

頑固な錆の場合

上記の方法でも落ちないほどの頑固な錆の場合、還元剤の漂白剤か、サンポールのように強酸である塩酸を含む洗浄剤を用いる方法があります。

ただし、これらは錆取りとして強力な働きをする一方で、ステンレスにとってものすごいダメージを与えます。

そのため、お酢と同様に少量を垂らしながら様子を見ながら使う事をお勧めします。

これでも、落ちない場合は、化学的処理が必要になるため専門業者を呼ぶなどの方法しかないと思います。

錆を落とす上で意識しなければいけないこと

研磨の力が強すぎたり、薬液の力が強すぎると、いくら錆そのものを落としても酸化皮膜まで傷つけて破壊してしまうと、そこから錆が侵食して余計に錆びてしまいます。

また、一般的に出来る赤錆は空気中の酸素と水分によって出来るため、シンク回りなどを掃除したあとは、必ず乾いた雑巾で水分をきちんと拭き取る必要があります。

そのため、

・使う薬液、磨く素材(たわし、雑巾、キッチンペーパーなど)のバランスを考える

・錆取り後は水分を徹底的に除去する

この2点が非常に大事になってきます。

最後に

ステンレスは錆びにくいため、多くの商品で使われていますが、使い方やメンテナンスを間違えると錆びる原因になるため、ステンレスの基礎知識と錆の落とし方をきちんと理解しておく必要があると思います。

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